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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻2号

2013年02月発行

文献概要

症例報告

点滴漏れによる皮膚損傷の小児例

著者: 平川彩子1 二木賢1 上出良一1 勝沼俊雄2 二ノ宮邦稔3 庄田裕紀子4

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科 2東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科 3東京慈恵会医科大学附属第三病院形成外科 4住友病院皮膚科

ページ範囲:P.151 - P.154

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要約 生後8か月,女児.ウイルス性腸炎にて当院小児科に入院し,輸液ポンプで右前腕から生理食塩水の点滴を受けていた.点滴刺入部からの大量血管外漏出が発生し,右手,前腕の著明な浮腫,水疱,右手指の運動障害を生じた.創は湿潤環境で治療し,壊死組織をデブリードマンし,生じた潰瘍に対して植皮も検討したが,湿潤環境で保存的に治療を継続した.2か月で創は瘢痕治癒し,1年後には肥厚,拘縮のない,わずかの色素沈着を伴う線状の成熟瘢痕にまで改善した.神経障害も残らなかった.大量の生理的食塩水漏出による皮膚障害の発生機序,対処法,皮膚科医としての心構えを述べた.皮膚科医は患者家族,特に母親の自責の念を受けとめつつ真摯に対応し,創の専門医として見通しをもった治療を行うことが大切である.

参考文献

1) 黒川正人,他:小児科 46:2167, 2005
2) 鈴木 琢,他:日小皮会誌 27:15, 2008
3) 井川浩晴,他:日形会誌 3:177, 1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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