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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻2号

2013年02月発行

症例報告

Tailgut cystの1例

著者: 加茂真理子1 白樫祐介1 藤本篤嗣1 福積聡2 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター形成外科

ページ範囲:P.155 - P.158

文献概要

要約 44歳,女性.仙骨部の自覚症状のない皮下腫瘤に気付き来院した.径4.5×3cm大,軽度隆起し波動性であった.灰黄色の無菌性膿汁が穿刺,吸引され,MRIでは皮下から連続して直腸と尾骨先端の間に至る多房性の囊胞を示した.病理組織学的に囊胞壁内層上皮は多列円柱線毛上皮,扁平上皮から構成されており,tailgut cystと診断した.Tailgut cystは,胎生期に認められる尾腸(tailgut)の遺残物よりなる囊胞であり,仙骨部の腫瘤または軽度の疼痛や違和感を契機に気付かれることが多い.病理組織学的には良性であることが多いが稀に悪性化の報告もあるため,囊胞の完全切除が必要となる.他の囊胞性疾患と鑑別のためにも稀な疾患ではあるが仙骨部皮下腫瘤の鑑別疾患として知っておきたい.

参考文献

1) Hjermstad BM, et al:Am J Clin Pathol 89:139, 1988
2) 森谷行利,他:日本大腸肛門病会誌 55:303, 2002
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4) 柴尾和徳,他:日本大腸肛門病会誌 59:11, 2006
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7) 岩川和秀,他:日本大腸肛門病会誌 54:551, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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