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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻2号

2013年02月発行

症例報告

アポクリン腺癌の2例

著者: 磯田祐士1 和田秀文1 前田修子1 小岩克至1 藤田浩之1 池澤善郎1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.163 - P.167

文献概要

要約 症例1:56歳,男性.初診2年前より左腋窩に腫瘤を自覚し徐々に増大し,当科を受診した.初診時15×8mmの肉芽腫様結節を認めた.症例2:56歳,女性.初診5年前から前胸部に紅斑が出現し,当科を受診した.初診時70×60mmの紅斑の中心に紅色小結節を2個認めた.症例1,2とも病理組織では好酸性の胞体をもつ異型細胞で構成され腺腔構造を形成し,断頭分泌像を認めた.症例1では免疫組織学的にGCDFP-15陽性,HER2陽性であった.2例とも全身検索にて転移源となる原発巣はなく皮膚原発のアポクリン腺癌と診断した.症例1は拡大切除およびリンパ節郭清後にカルボプラチン550mgとエピルビシン90mg,およびシクロホスファミド150mgとドキソルビシン70mgを用いた術後化学療法施行したが術後3年で永眠した.症例2は稀な胸部発生例であり,異所性アポクリン腺が胸部皮膚に存在していた可能性が示唆された.皮膚アポクリン腺癌でリンパ節転移をきたした症例は予後不良であり,術後化学療法の選択については今後の症例の集積を要すると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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