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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻3号

2013年03月発行

文献概要

症例報告

著明な乾燥を呈したサルコイドーシスの2例

著者: 福原麻里1 水川良子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.223 - P.228

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要約 症例1:74歳,女性.約1年前より両眼の霞視を認め,その増悪とともに両下腿に著明な乾燥を伴う爪甲大までの浸潤のある紅斑が出現した.症例2:61歳,男性.37歳時,両側リンパ節腫脹にて他院でサルコイドーシスと診断され,48歳時にはぶどう膜炎が出現した.約5年前より四肢の乾燥を自覚していた.四肢関節の腫脹とともに下肢を中心に米粒大から鶏卵大の皮下結節が多発し,乾燥症状の悪化を認めた.症例1,2ともに下腿の角質水分量は7.6,17.6μsと低値(健常コントロール53.6±3.1,49.6±4.0)で,病理組織では汗腺周囲に類上皮細胞肉芽腫を認めた.過去10年の教室例の検討では,下肢に皮膚の乾燥を伴うサルコイドーシス6症例全例で,ぶどう膜炎が認められ,両者の関連をうかがわせた.6例中5例で汗腺周囲に類上皮細胞肉芽腫を認め,これによる発汗機能の低下が,乾燥症状の原因の1つとなっていると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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