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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻3号

2013年03月発行

症例報告

左乳頭乳輪部に発生したBowen病の1例

著者: 嘉山智子1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.261 - P.264

文献概要

要約 72歳,女性.初診の約5年前より左乳房外側に掻痒を伴う母指頭大の紅斑が出現し,次第に拡大してきた.初診時,左乳頭乳輪部から乳房に連続した辺縁不整,境界不明瞭な最大径75×55mmの鱗屑を伴う紅斑を認めた.病理組織像では表皮全層に角化細胞の配列の乱れと核異型がみられ,さらに異型核分裂像や多核細胞も認めたためBowen病と診断した.発生部位から当初は乳房Paget病を疑ったが,免疫染色でp63陽性,CK19陰性,CK7陰性であったのでPaget病を否定した.自験例では基底層の細胞でのp16過剰発現が確認された.乳輪乳頭部という外陰部と同様アポクリン汗器官に発生したことからhuman papillomavirus(HPV)感染の可能性を考えたがHPV免疫染色は陰性であった.自験例では乳頭乳輪部という特異的な部位に発症しp16が過剰発現していたが,HPVの関与は確認できなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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