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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻3号

2013年03月発行

文献概要

症例報告

慢性骨髄単球性白血病に生じた壊疽性膿皮症の1例

著者: 難波千佳1 花川靖1 村上信司1 佐山浩二1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科感覚皮膚医学

ページ範囲:P.269 - P.272

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要約 42歳,女性.初診の半年前より慢性骨髄単球性白血病を発症し,無治療で経過観察中であった.初診の1か月前に湯たんぽにて低温熱傷を受傷した.初診の1週間前から,誘因なく同部位が著明に腫脹し,排膿したため,2011年2月当科を紹介され受診した.初診時,右下腿全面から内側にかけて17×20cm大の暗赤紫色の局面があり,中央は潰瘍となり,潰瘍内部には変性した脂肪織を認めた.入院後,蜂窩織炎の潰瘍化と考え抗生剤の点滴を開始した.局所の発赤腫脹は消退したが,潰瘍は改善しなかったため,デブリードマンを2回施行したが,いずれの場合も腫瘤状の不良肉芽を形成した.皮膚生検の結果は単核球浸潤からなる肉芽組織であった.感染症,血管炎,腫瘍などを支持する所見がないこと,慢性骨髄単球性白血病という基礎疾患の存在,経過から壊疽性膿皮症と診断し,プレドニゾロン30mgの内服を開始した.内服開始後潰瘍は著明に縮小し,プレドニゾロン内服開始3か月後,15mgに減量時に潰瘍は上皮化した.以後プレドニゾロンは漸減中であるが,潰瘍の再燃はない.また,慢性骨髄単球性白血病に関しても,病態は安定しており,無治療で経過観察中である.自験例は,不良肉芽の増殖変化が著明であったことが特徴的であった.

参考文献

1) 戸田憲一:最新皮膚科学大系,第6巻,中山書店,p262, 2002
2) Powell FC, et al:J Am Acad Dermatol 34:395, 1996
3) Rogalski C, et al:J Dermatol 30:59, 2003
4) 池田政身,他:西日皮膚 56:445, 1994
5) 佐藤正隆,他:日皮会誌 119:3045, 2009
6) 狩野葉子:J Visual Dermatol 8:1312, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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