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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻4号

2013年04月発行

症例報告

NEMO遺伝子exon 4-10の欠失がみられた色素失調症の1例

著者: 記村貴之1 石浦信子1 玉木毅1 兼重昌夫2 中野創3

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科 2国立国際医療研究センター病院小児科 3弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座

ページ範囲:P.292 - P.296

文献概要

要約 日齢0日,女児.出生時より四肢に水疱と落屑がみられたため当院小児科に入院し,皮膚症状について当科を受診した.初診時,四肢,腋窩を中心として1cmまでの緊満性水疱と落屑性紅斑が集簇あるいは列序性にみられた.水疱部の病理組織学的検査で,好酸球・好中球を含む表皮内水疱と表皮の海綿状変化がみられ,真皮浅層にも好酸球・好中球が浸潤していた.末梢血では好酸球増多(3,470/μl)がみられた.遺伝子検査で患児にNEMO遺伝子exon 4-10の欠失がみられたが,両親に遺伝子異常はみられず,色素失調症の孤発例と診断した.合併症として,眼底検査で網膜周辺部の血管に蛇行・走行異常がみられた.水疱が痂皮化したのち色素沈着と褐色斑が出現し,徐々に退色した.1歳6か月現在,癒合歯と脱毛斑がみられる.新生児が列序性の水疱や紅斑を呈した場合,色素失調症も念頭に置いて精査することが合併症の早期診断と治療につながるため有益であると考えた.

参考文献

1) Bardaro T, et al:Hum Mutat 21:8, 2002
2) Smahi A, et al:Nature 405:466, 2000
3) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,8巻,中山書店,p48, 2004
4) Carney RG:Arch Dermatol 112:535, 1976
5) 山本広樹,他:眼科臨床医報 88:401, 1994
6) Berlin AL, et al:J Am Acad Dermatol 47:169, 2002
7) Makris C, et al:Mol Cell 5:969, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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