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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

症例報告

Nocardia brasiliensisによる皮膚ノカルジア症の3例

著者: 若林正一郎12 岩澤真理1 外川八英1 宮川健彦2 鎌田憲明1 神戸直智1 松江弘之1 矢口貴志3 三上襄3

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2船橋市立医療センター皮膚科 3千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.341 - P.346

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要約 症例1:77歳,男性.左前額部の外傷後,同部位に紅色結節と左下顎リンパ節膿瘍が出現した.膿汁からNocardiaが培養され,切開排膿と塩酸ミノサイクリンの内服により治癒した.症例2:79歳,男性.右前腕の外傷後に紅色結節が出現し,生検組織からNocardiaが培養され,ST合剤の内服により治癒した.症例3:85歳,男性.外傷の既往なく左手関節伸側に紅色結節が出現した.生検組織からNocardiaが培養され,外科的切除とST合剤の内服により治癒した.自験例は3例ともに免疫低下を示唆する既往歴のない75歳以上の高齢者であり,分離菌株は生化学的性状と16S rRNA遺伝子の塩基配列からNocardia brasiliensisと同定された.本邦の皮膚ノカルジア症の報告は1995~2011年に自験例を含め197例あり,原因菌種はN. brasiliensisが最も多く約半数を占め,65歳以上の高齢者に多かった.

参考文献

1) 三上 襄:真菌誌 48:186, 2007
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5) 古谷信彦:日本臨牀 61:362, 2003
6) 伊方敏勝,他:皮膚臨床 53:291, 2011
7) 服部尚子,三上 襄:BM Derma 127:71, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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