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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

症例報告

黄色ブドウ球菌による再発性壊疽性膿瘡の1例

著者: 本多皓1 綿貫沙織1 栗原英美1 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.347 - P.352

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要約 症例は60歳,男性.初診1年前に骨髄異形成症候群と診断され,加療中であった.2010年5月,食欲不振と全身倦怠感が出現し,血圧低下,好中球減少,貧血を認め,CRP 29.4mg/dlと上昇し敗血症性ショックの疑いで入院した.入院時,体幹,四肢に鶏卵大までの中央に黒色痂皮を付着し,周囲に紅暈を伴う潰瘍を多数認めた.組織培養で黄色ブドウ球菌陽性で壊疽性膿瘡と診断し,セフトリアキソンナトリウム水和物2g/日点滴と精製白糖ポピドンヨード外用にて軽快した.3か月後,全身倦怠感,発熱と出血傾向を認め,好中球は176/μlと減少し,Hbは6.6g/dlへ低下したため再入院したが,右背部に前回同様の皮疹がみられた.病理組織では真皮全層に及ぶ壊死と,真皮下層に細菌塊を認めた.組織培養にて黄色ブドウ球菌陽性で,壊疽性膿瘡再発と診断した.本症起炎菌の多くは緑膿菌で,黄色ブドウ球菌は稀である.免疫不全状態を基礎に生じるため,本症を診察した際は早急な全身状態評価と治療開始が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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