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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

症例報告

粉瘤様外観を呈し皮下に生じた基底細胞癌と粉瘤の併存例

著者: 車谷紋乃1 木村久美子1 稲冨徹1 樫村勉2 仲沢弘明2 照井正1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野 2日本大学医学部形成外科学系形成外科学分野

ページ範囲:P.353 - P.356

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要約 57歳,男性.約1年前左頰部に生じた左頰皮下結節が徐々に増大,圧すると悪臭のある排膿があった.受診時,鼻背左側から左頰部に,黒色の開口部を伴う20×9mmの連珠状で下床と可動性のある皮下結節を認めた.病理組織学的には,真皮内に小型で好塩基性の基底細胞様細胞が大小の胞巣を形成し増殖しており,最外層は柵状配列を呈し,周囲の間質との間には裂隙形成を認めた.腫瘍細胞はBer-EP4陽性,Bcl-2陽性,CK19陰性であり,この腫瘍は基底細胞癌(basal cell carcinoma:BCC)と診断した.これに隣接して,層状の角質物質を容れる囊腫構造がみられた.連続切片を作成したが両者に連続性はなく,角質囊腫は腫瘍胞巣外に存在し,毛包漏斗部類似の構造を認めなかったため,keratotic BCCやinfundiblocystic BCCは否定し,皮下に腫瘤を形成したBCCと粉瘤の併存例と考えた.臨床的に粉瘤が疑われても,切除後に組織学的な確認が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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