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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

症例報告

上腕に紫紅色結節を呈した肝癌皮膚転移の1例

著者: 五木田麻里1 福本毅1 堀啓一郎1 藤田昌幸2 浦出剛史3 河村史朗3 島田悦司3

所属機関: 1神戸医療センター皮膚科 2神戸医療センター研究検査科病理 3神戸医療センター外科

ページ範囲:P.362 - P.366

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要約 63歳,男性.2010年1月心窩部痛が出現し,精査の結果,T4N1M1 Stage IVbの肝癌,Child-Pugh分類Bと診断された.同年5月,右上腕の腫瘤に気付いた.同年11月中旬当科初診時には,径4cmの紫紅色結節を認め,腫瘍全摘術を施行した.病理組織学的所見は,真皮浅層から皮下組織にかけて,高度に異型のある細胞よりなる充実性の腫瘍塊を認め,一部管状構造を構成していた.腫瘍細胞はサイトケラチンAE1/3およびビメンチン陽性で,α-フェトプロテインおよびhepatocyte paraffin 1は陰性であった.全身検索の結果,肝癌以外の悪性腫瘍は見出せず,肝癌の皮膚転移と診断した.また,同年11月下旬より歯肉転移も出現し,同年12月中旬から放射線療法を開始したが,放射線療法開始3日後に永眠した.肝癌皮膚転移の本邦報告28例を検討した.単発例で上腕に転移が出現した例はこれまで報告がない.

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本論文の図2a、bは異なる写真が掲載されてしまったため、2013年4月25日に正しい写真に修正いたしました。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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