臨床皮膚科67巻5号

2013年04月発行

特集 最近のトピックス2013　Clinical Dermatology 2013 2．皮膚疾患の病態

接触感作にLangerhans細胞は不要？

著者： 椛島健治¹

所属機関： ¹京都大学大学院医学研究科皮膚科学

ページ範囲：P.31 - P.34

要約　接触皮膚炎をはじめとする抗原特異的皮膚免疫反応は，皮膚に曝露された抗原を所属リンパ節に移動することにより感作が開始される．その役割を果たす皮膚抗原提示細胞はLangerhans細胞であると従来考えられてきた．近年，遺伝子改変マウス作製技術の進歩により，Langerhans細胞のみを欠失するマウスを作製することが可能となった．このマウスに接触皮膚炎モデルを適用すると，接触皮膚炎反応が影響を受けない，あるいはむしろ増悪したという報告がなされた．この結果はLangerhans細胞が接触感作において必須の細胞ではないことを示す．その後の研究により，Langerhans細胞にはむしろ免疫抑制に関与することが，紫外線照射による接触皮膚炎の免疫抑制モデルを用いた解析により明らかになった．

参考文献

1) Ginhoux F, et al:J Exp Med 204:3133, 2007

2) Bursch LS, et al:J Exp Med 204:3147, 2007

3) Poulin LF, et al:J Exp Med 204:3119, 2007

4) Honda T, et al:J Invest Dermatol 133:303, 2013

5) Kissenpfennig A, et al:Immunity 22:643, 2005

6) Bennett B, et al:J Cell Biol 169:569, 2005

7) Kaplan DH, et al:Immunity 23:611, 2005

8) Igyarto BZ, et al:J Immunol 183:5085, 2009

9) Yoshiki R, et al:J Invest Dermatol 129:705, 2009

10) Honda T, et al:J Allergy Clin Immunol 125:1154, 2010