文献詳細
文献概要
特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013 4.皮膚疾患治療のポイント
生物学的製剤使用に当たってのスクリーニング検査の注意点―感染症,特にB型肝炎を中心に
著者: 五十嵐敦之1
所属機関: 1NTT東日本関東病院皮膚科
ページ範囲:P.104 - P.107
文献購入ページに移動要約 B型肝炎については既往感染者でde novo 肝炎を発症しうることが明らかとなったため,HBs抗原に加えてHBs抗体,HBc抗体を測定する必要があり,保険診療上も算定可能となった.抗原陰性,抗体陽性の既往感染者ではHBV-DNAを定期的にモニタリングするが,検出された場合は生物学的製剤を突然中止してはならず,速やかに肝臓専門医に相談すべきである.結核については他科領域の豊富な使用経験から予防投与も徹底され,その発症頻度は低いものの,マニュアルを遵守しても発症するケースが認められる.イソニアジドの投与については肝機能障害に特に注意すべきである.HIV,HTLV,C型肝炎などそのほかのウイルス感染症についても検査が推奨されているが,投与禁忌とはなっていない.β-D-グルカン,KL-6,抗核抗体などの検査についてもマニュアル上必須ないし推奨されている.他科との連携を密に診療に当たることが重要である.
参考文献
1) 大槻マミ太郎,他:日皮会誌 121:1561, 2011
2) 南 祐仁,岡上 武:化学療法の領域 28(増刊):1054, 2012
3) 持田 智:治療 94:1519, 2012
4) 川上将司,他:九州リウマチ 29:53, 2009
5) 梅北邦彦,他:感染症学雑誌 84:234, 2010
6) Cepeda EJ, et al:Ann Rheum Dis 67:710, 2008
7) 松本智成:Pharma Medica 30:53, 2012
8) 飯谷麻里,他:日皮会誌 122:636, 2012
掲載誌情報