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特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013 4.皮膚疾患治療のポイント
悪性黒色腫のin-transit転移―予後を考慮した治療戦略
著者: 竹之内辰也1
所属機関: 1新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科
ページ範囲:P.132 - P.136
文献購入ページに移動要約 悪性黒色腫のin-transit転移(in-transit metastasis:ITM)は所属リンパ節までの皮膚・皮下へのリンパ行性転移であり,多くは再発様式として認められる.その取り扱いにはいまだ明確な指針がなく,治療選択に苦慮する場面が多い.当院で再発として経験したITM 18例について,治療経過と予後についての解析を行った.13例において遠隔転移が続発し,11例が原病死した.ITM発現後の生存期間中央値は36か月,5年生存率は34%で,初回再発様式別の比較では所属リンパ節転移,遠隔転移よりも生存期間が長い傾向がみられた.ITMに対する治療は可能であれば外科的切除が第一選択となるが,その目的はあくまで局所制御としての意味合いが強く,広範切除が予後の改善に寄与するというエビデンスはない.現在,進行期悪性黒色腫に対する新規抗癌剤の導入が進められており,ITMの治療戦略も今後は大きく変動していくものと予想される.
参考文献
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