文献詳細
文献概要
特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013 5.皮膚科医のための臨床トピックス
先天性表皮水疱症治療の新しい展開
著者: 玉井克人1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学
ページ範囲:P.159 - P.161
文献購入ページに移動要約 表皮水疱症は,皮膚基底膜領域の構造遺伝子異常により,生直後から生涯表皮剝離を繰り返す遺伝性水疱性皮膚難病である.組織学的水疱形成部位により,表皮内水疱の単純型,表皮・基底膜間水疱の接合部型,真皮内水疱の栄養障害型に分類される.現時点では有効な治療法はない.近年,骨髄移植が表皮水疱症の有効な治療となる可能性がマウスを用いた研究で示され,米国ミネソタ大学では表皮水疱症に対する骨髄細胞移植治療を実施し,その有効性を明らかにしつつある.一方われわれは,栄養障害型表皮水疱症モデルマウスを用いた検討により,骨髄間葉系幹細胞による皮膚基底膜部への生体内Ⅶ型コラーゲン供給メカニズムの存在を見出した.現在われわれは,骨髄間葉系幹細胞移植臨床研究の実施に向けて準備を進めている.さらに,基礎研究レベルでは,Ⅶ型コラーゲン補充療法やiPS細胞を用いた表皮水疱症治療法開発研究が進められており,表皮水疱症に有効な新しい治療法の確立が期待される.
参考文献
1) Tamai K, et al:Trends Mol Med 15:285, 2009
2) Chino T, et al:Am J Pathol 173:803, 2008
3) Tamai K, et al:Proc Natl Acad Sci USA 108:6609, 2011
4) Tolar J, et al:Blood 113:1167, 2009
5) Fujita Y, et al:Proc Natl Acad Sci USA 107:14345, 2010
6) Wagner JE, et al:N Engl J Med 363:629, 2010
7) Conget P, et al:Cytotherapy 12:429, 2010
掲載誌情報