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特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013 5.皮膚科医のための臨床トピックス
苦情・クレームから医療紛争まで―対話による解決を図る医療メディエーションとは?
著者: 永井弥生1
所属機関: 1群馬大学医学部附属病院医療安全管理部
ページ範囲:P.172 - P.175
文献購入ページに移動要約 医療紛争の多くが「ボタンの掛け違い」といわれる.対話による解決を目指したいと思うとき,理解しておくと役立つことがある.①怒りの裏にはさまざまな感情が隠れており,まず感情に対する共感がないと,医学的説明が受け入れられない.②そもそも医療者と患者は同じ出来事を異なるフレームを通してみているので,その理解には「ずれ」が生じている.③強く言葉として出されていることは実は真の要求ではなく,その深層には本当の要求が隠れている.医療メディエーター(医療対話推進者)は,感情への共感的理解,ずれや誤解,お互いに見えていない世界を対話で紡ぎ,当事者の問題を変容させる,そして深層の思いを引き出していくといった過程を経て,問題解消の場を提供していく.医療メディエーションの考え方は,紛争解決のみでなく,苦情・クレームや日常診療まで役立つ有用なツールとして広まっている.
参考文献
1) 和田仁孝,中西淑美:医療メディエーション,シーニュ社,2012
2) 荒神裕之,和田仁孝:日内会誌 101:2360, 2012
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