臨床皮膚科67巻5号

2013年04月発行

特集 最近のトピックス2013　Clinical Dermatology 2013 5．皮膚科医のための臨床トピックス

入院患者の皮膚科受診の経済的最適化

著者： 遠藤雄一郎¹² 土居主尚³ 吉川義顕¹

所属機関： ¹大津赤十字病院皮膚科 ²京都大学医学部附属病院皮膚科 ³独立行政法人放射線医学総合研究所放射線防護研究センター規制科学総合研究グループ

ページ範囲：P.176 - P.178

要約　診断群別包括支払制度のもとでは，入院中患者の皮膚科診察は特に定めるところのない限り費用を請求できない．そこで，他科入院中の患者の皮膚受診の需要と供給とを最適化するようシミュレーションを用いて実証的に検討した事例を紹介する．まず皮膚科への入院患者の診察依頼の分布を検討した．次に，シミュレーションをもとに1日に診察する入院中患者の上限数を設定して，削減可能かを検証した．診察依頼はポアソン分布に従って発生しており，平均は5.19であった．上限を4人と設定して，定員に達した場合には0.2の確率で翌日の受診へ持ち越すとき，運営上最適であると示唆された．シミュレーションを用いたシステム改善の手法は，他院の皮膚科に対しても示唆を与えうると考える．

参考文献

1) 田辺三菱製薬株式会社営業推進部：DPCはやわかりマニュアル2010年度版

2) 臼田俊和：皮膚臨床 51:849, 2009

3) 臼田俊和：日皮会誌 118:2645, 2008

4) 医科診療報酬点数表，平成22年4月版，社会保険研究所

5) 中澤　港：第7章　Rでシミュレーション，岡田昌史(編)・The R Book-データ解析環境Rの活用事例集，初版，九天社，p133, 2004