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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻5号

2013年04月発行

文献概要

Derm.2013

酒皶様皮膚炎のもと

著者: 山﨑研志1

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科皮膚科学

ページ範囲:P.81 - P.81

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 北の冬の寒さと乾燥は,老若男女を“リンゴほっペ”にします.雪国のシンボルとして蓑傘を被った雪ん子をよく見かけますが,その多くは頰をほんのりとピンク色に染めています.私の3歳になる娘の頰も例外ではなく,彼女のピンク色の頰は,冬将軍到来の示標でもあります.軽度の肌の乾燥も伴うために保湿剤を欠かさないようにしていますが,最近は彼女自身の小さな指で1 finger tip unitを計りながら塗れるまで成長しました.ちょっと厚塗りではありますが.

 皮膚科の外来での“リンゴほっぺ”はあまり望ましいものではなく,そのなかで酒皶様皮膚炎・ステロイド皮膚炎の方を時々見かけます.酒皶様皮膚炎の診断事由の1つは“ステロイド外用による悪化・誘発”ですが,もともとの疾患は何だったのだろうとよく考えます.患者さん自身になぜ,ステロイドを塗りはじめたのかと聞いてみると「赤かったから,かゆかったから」という答えが多く,前医での診断もはっきりしないことがあります.「前医がステロイド外用剤を使ったことが原因だ」と言ってしまうのは簡単なことですが,そもそもなぜステロイド外用剤を処方される皮膚の状態ができたのかが,説明できていません.酒皶様皮膚炎の治療を進めていくと,その根源が現れてくるときがあります.もともとが酒皶そのものであったりするとステロイド使用そのものに疑問を待たざるを得ませんが,脂漏性湿疹や接触皮膚炎のようにステロイド外用剤の使用が妥当な疾患がベースに隠れていることもあります.前医がステロイド外用剤を使ったことは,必ずしも悪いことではないのです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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