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文献概要
Derm.2013
足育研究会
著者: 高山かおる1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院皮膚科学教室
ページ範囲:P.103 - P.103
文献購入ページに移動 数年前から行っているフットケア外来に,胼胝・鶏眼の患者さんがたくさん集まってくる.口をそろえたように「どこに行っても治らない」「芯はとれないのか」と嘆いている.フットケア外来と掲げている以上このような嘆きに対応するのは役目と思ってはいるが,難治性の患者さんたちは外反母趾・ハンマートウなどの足趾の変形,偏平足や開張足などの足の変形を伴っており,そのことが難治の原因のため対応は一筋縄ではいかない.さらに靴の選択やはき方に関してまるで無頓着なことが多い.皮膚科の日常診療は患者さんが多くて忙しい.いろんな対策を話すより削って帰ってもらったほうが簡単だと思うが,足の変形にいち早く気が付いて靴・運動・姿勢の指導等足の変形が本格化する前に対応をとることができたらこれからの高齢化社会は元気に闊歩できる人が多くなるかもしれないと夢を膨らまして診療している.そんなことをいつも思っていたら,3Dの足型を30秒で計測できるという機械を開発したある社長さんに会った.足の型を計測して眼鏡を処方するようにインソールや靴が処方できたらどれだけ多くの人が健康にすごせるかと考えている.またその社長さんに「あゆみ」という介護シューズをつくっている社長さんを紹介していただいた.困っている人の役に立つという信念のあるこの会社のつくる介護シューズは左右バラバラに購入ができ,躓きにくく,履き心地が抜群によい.人が人を呼び同じことを思って足の仕事をしている人たちが集まって「足育研究会」というのを結集した.現在は足育を目的とした足型測定会を開き,私たち皮膚科医が足を診察し,3Dの機械で足型を計り,装具師や靴屋が適切な靴の指導を行い,フットケア師が適切なセルフケアの仕方を指導するという活動をしている.今後はどれだけの問題が起こっているかをデータとして蓄積し,具体的かつ有効な対応策をとれるようにしていきたい.
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