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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻6号

2013年05月発行

文献概要

症例報告

下腿に生じた軟骨化,骨化を伴った皮膚混合腫瘍の1例

著者: 守田亜希子1 河野克之1 毛利忍1 武川るみ2

所属機関: 1横浜市立市民病院皮膚科 2横浜ココ皮膚科

ページ範囲:P.421 - P.425

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要約 39歳,男性.約4年前より左下腿に自覚症状を伴わない腫瘤が出現し,徐々に増大するも放置していた.2007年6月,当科初診時,左下腿外側に24×23×7mm大,表面常色~軽度褐色,いびつな円柱状で,触診上,皮内から皮下にかけて骨様硬の腫瘤を認めた.下床との可動性は良好であった.病理組織像では,真皮下層から皮下脂肪織にかけて,島状~管腔状構造をもつ腫瘍細胞が粘液腫様~軟骨様の間質を伴って存在し,軟骨~骨成分を伴っていた.間質内に孤立性に存在する腫瘍細胞も認めた.以上より軟骨~骨化像を伴った皮膚混合腫瘍と診断した.軟骨と骨成分を伴っているため,軟骨性骨化像と考えた.本症は顔面,頭頸部発生が多く,下腿発生は比較的稀である.病理組織学的には典型だが,軟骨と骨化がみられた点は特異であった.皮膚混合腫瘍における軟骨化,骨化の機序はさらに検討を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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