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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻6号

2013年05月発行

文献概要

症例報告

イトラコナゾール内服と温熱療法が著効したスポロトリコーシスの1例

著者: 平井郁子1 笠井弘子1 崎山とも1 木花光1 佐藤友隆2

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科 2国立病院機構東京医療センター皮膚科

ページ範囲:P.455 - P.459

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要約 78歳,男性.2010年12月に自宅の裏山の木で左上腕を傷つけた.創部が潰瘍化し難治のため,約2か月後に当科に紹介された.左上腕に2~3cm径の潰瘍を2か所認めた.病理組織学的に,真皮浅層から中層にかけての好中球,リンパ球を主とした稠密な炎症細胞の浸潤と,一部にasteroid bodyを認めた.生検皮膚よりSporothrix schenckiiを培養同定し,皮膚固定型スポロトリコーシスと診断した.ヨウ化カリウムを内服し600mg/日まで増量したところでめまいや胃部不快感が出現したため,450mg/日に減量し内服を継続した.5か月後に総投与量約60gで瘢痕治癒したが,1か月後に再燃し,温熱療法とイトラコナゾール200mg/日内服で治癒した.近年,スポロトリコーシスの治療において,ヨウ化カリウムや温熱療法の他に,イトラコナゾール奏効例の報告が増加している.両薬剤の特徴を踏まえ,患者背景やコンプライアンスに併せた治療が必要と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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