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症例報告
背部に生じた巨大な増殖性外毛根鞘性囊腫の1例
著者: 赤坂英二郎1 神可代2 北村英夫1 原田研1
所属機関: 1青森県立中央病院皮膚科 2弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座
ページ範囲:P.507 - P.510
文献購入ページに移動58歳,男性.右上背部に90×85mm大,ドーム状に隆起した腫瘤を認めた.生検の結果,増殖性外毛根鞘性囊腫(proliferating trichilemmal cyst:PTC)と診断し腫瘍切除,全層植皮を行った.切除標本の病理組織像は外毛根鞘性角化を示す大小の囊腫が増殖しており,悪性所見はみられなかった.増殖性外毛根鞘性囊腫は前癌的性格を有する腫瘍と考えられており,悪性腫瘍に準じた治療が必要となることもある.自験例は,背部に生じた増殖性外毛根鞘性囊腫としては,本邦報告例中最大であった.背部に生じたPTCは,頭部に比べ大型になる傾向がある.頭部以外に生じた皮膚腫瘍であっても,画像検索などでPTCが疑われる場合には,悪性化の有無も含め病理組織を入念に検討し,適切な治療を行う必要がある.
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