文献詳細
症例報告
Erosive adenomatosis of the nippleの1例
著者: 小原芙美子1 鷲崎久美子1 中村元泰1 関東裕美1 若山恵2 栗川幸子3 石河晃1
所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座 2東邦大学医学部病理学教室 3大田区
ページ範囲:P.511 - P.514
文献概要
45歳,女性.2年前より右乳頭部に出血を認め,吉草酸ベタメタゾン・ゲンタマイシン軟膏を外用したが改善認めないため,当院に紹介受診した.右乳頭全体は13×13×8mmに腫大し硬結を触れ,中央に10×5mmのびらん局面を認めた.病理組織像は,表皮内に異型細胞を認めず,真皮内に一部断頭分泌像を伴う腺管構造が密に増生していた.腺管の壁細胞は概ね2層の細胞層からなり,異型細胞や分裂像はなかった.さらに免疫染色で腺管外側を構築する筋上皮細胞が染色され,乳管上皮細胞との2層構造を確認しerosive adenomatosis of the nippleと診断した.外科的治療を希望されず,保存的に乳頭びらん部への亜鉛華軟膏外用にて経過観察し,本症は初発から3年程経過しているが硬結・びらんの拡大は認めない.悪性化や治療後の再発について報告例があり,注意深い経過観察が必要だが,保存的治療も1つの選択肢と考える.
参考文献
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