文献詳細
症例報告
中型の先天性色素性母斑より発症した悪性黒色腫の1例
著者: 茶谷彩華1 山本奈緒1 橋本網子1 畑康樹1 土居正和2 下川伶子3
所属機関: 1済生会横浜市東部病院皮膚科 2済生会横浜市東部病院皮膚科乳腺外科 3済生会横浜市東部病院病理科
ページ範囲:P.521 - P.525
文献概要
36歳,男性.出生時より左腹部に黒色斑があった.2009年7月より同部位に小結節が出現し徐々に増大し,翌年1月当科を初診した.48×26mm大の黒色斑上に径25mm大の紅色有茎性結節を認めた.悪性黒色腫を疑い全摘生検し,センチネルリンパ節生検も施行した.組織学的に結節部に一致して異型性が強い腫瘍細胞が密に増殖していた.センチネルリンパ節に転移を認めたが,遠隔転移なく,pT4bN2aM0 stage ⅢBの悪性黒色腫と診断した.拡大切除し,左腋窩リンパ節郭清後,DAVフェロン療法を6クール施行した.遠隔転移は認めていないが,左前胸部にin transit lesionが出現した.同病変を切除し,インターフェロン局注を継続している.小型・中型の先天性色素性母斑においても悪性黒色腫の発生母地となりうるため,定期的に診察を受けること,色素斑の変化を観察することが推奨されている.また,切除することも治療の選択肢の1つとして考えられるべきである.
参考文献
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