文献詳細
治療
閉塞性動脈硬化症とcalciphylaxis合併例の皮膚潰瘍に血行再建術が奏効した1例
著者: 林雄二郎1 櫻井謙次1 岡本奈都子1 米谷あずみ2 浅田秀典3 十一英子1
所属機関: 1京都医療センター皮膚科 2京都医療センター形成外科 3京都医療センター血管外科
ページ範囲:P.547 - P.552
文献概要
58歳,男性.慢性腎不全で20年前より血液透析中である.続発性副甲状腺機能亢進症で副甲状腺摘出,高血圧,30年の喫煙歴がある.3か月前より左下腿,左足趾に有痛性紫斑を伴う黒色壊死が出現した.動脈造影で左総大腿動脈の内腔狭窄,左浅大腿動脈の完全閉塞があったが,潰瘍部栄養動脈に血流途絶はなかった.病理組織学的所見では小中動脈の血管壁が全周性に石灰化し,内腔が閉塞していた.閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)およびcalciphylaxisの合併と診断し,血行再建術を施行したところ壊死の拡大は止まり,デブリードマン後肉芽が新生し植皮術で潰瘍は閉鎖した.Calciphylaxis診断基準案には記載がないが,calciphylaxisにおけるASO合併例は血行再建術が奏効しうるためASOの検索を行うべきと考えた.
参考文献
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