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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻8号

2013年07月発行

文献概要

症例報告

仙骨部褥瘡から発症した壊死性筋膜炎の1例

著者: 西村(平井)千尋1 五味博子1 石井健1 早川和人1 藤井貴子2 福積聡2 岡野美々3 幸田圭史3

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター形成外科 3帝京大学ちば総合医療センター外科

ページ範囲:P.591 - P.595

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要約 81歳,女性.無治療の糖尿病あり.1年前に仙骨部の褥瘡が生じたが放置していた.初診時,仙骨部に4×3cm大の黒色壊死を伴う潰瘍を認めた.血液検査上WBC 28,500/μl,CRP 24.1mg/dl,CT上仙骨部から背部まで筋膜に沿ったガス像,脂肪隔壁の肥厚を認めた.患部からStreptococcus agalactiaeや嫌気性菌,腸内細菌が検出された.デブリードマンを行い,抗生剤投与と計4度の分層植皮術を施行し上皮化を図った.糖尿病を合併する壊死性筋膜炎は重症化する場合が多く,早期の診断と治療が必要である.自験例では短時間で広範囲の撮影が可能でガス像の有無も確認できるCT検査が有用であった.発症機序として糖尿病による局所循環不全や局所酸素分圧の低下により嫌気性菌感染を伴ったと考えた.また,腸内細菌が糖を分解することでガス産生を伴う壊死性筋膜炎を起こした可能性を考えた.

参考文献

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9) 中野峰生,他:日外科系連会誌 27:132, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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