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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻8号

2013年07月発行

文献概要

症例報告

蜂窩織炎の病変上に生じる紫斑の臨床的検討―組織所見もあわせて

著者: 西村(平井)千尋1 五味博子1 石井健1 早川和人1 大津貴子2 福積聡2

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター形成外科

ページ範囲:P.597 - P.602

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要約 2009年10月~2011年5月に当施設で経験した紫斑を伴う蜂窩織炎の6症例につき臨床的に検討し,このうち生検を施行しえたのは2例であった.症例1:68歳,男性.38℃の発熱と右下腿の発赤,腫脹があった.症例2:62歳,男性.37℃の発熱と左下腿の淡い発赤,腫脹がみられた.2例ともに病変上に粟粒大から半米粒大までの点状出血が密に認められた.病理組織学的には真皮で血管周囲性の好中球浸潤,核塵および血管壁の破壊の所見がみられた.6例全例で経時的に抗ストレプトリジンO(ASO),抗ストレプトキナーゼを測定し,6例中5例で基準値を超える異常高値(ASO最大値:353~973IU/ml),または有意な変動を認め,溶連菌が原因菌であると考えられた.病変上の紫斑は溶連菌性蜂窩織炎の臨床的特徴と考えられ,機序として溶連菌が産生する菌体外毒素によって血管内皮細胞が傷害される可能性が考えられた.

参考文献

1) 岡崎亜希,他:日皮会誌 121:17, 2011
2) Eriksson B, et al:Clin Infect Dis 23:1091, 1996
3) Musette P, et al:Eur J Intern Med 15:446, 2004
4) Krasagakis K, et al:Clin Exp Dermatol 36:351, 2011
5) 牛込悠紀子,他:臨皮 66:38, 2012
6) Burns EH Jr, et al:Infect Immun 64:4744, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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