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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻8号

2013年07月発行

文献概要

症例報告

MPO-ANCA陽性のChurg-Strauss症候群の1例

著者: 岩渕千雅子12 関東裕美2 渡邊哲朗1 芳賀高浩3 長晃平3 石河晃2

所属機関: 1日産厚生会玉川病院皮膚科 2東邦大学医療センター大森病院皮膚科学教室 3日産厚生会玉川病院呼吸器内科

ページ範囲:P.617 - P.621

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要約 67歳,女性.7年前より気管支喘息にて加療していた.数日前から発熱があり,呼吸苦の出現とともに両下腿の紫斑としびれが出現し,急速に拡大した.受診時,両下腿に浸潤を触れる紫斑を認め一部は癒合し血疱の形成も認めた.両下腿にしびれと疼痛を伴い,足関節の背屈は不能で歩行困難であった.血液検査では好酸球増多,MPO-ANCA陽性,IgEの増加,尿蛋白および尿潜血が陽性だった.臨床症状と検査所見からChurg-Strauss症候群(Churg-Strauss syndrome:CSS)と診断した.病理組織像は白血球破砕性血管炎の所見を示した.ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法で紫斑と神経症状は改善したが,好酸球,MPO-ANCAは再上昇し,尿蛋白も陽性で,シクロホスファミドパルスを施行し,改善した.MPO-ANCA陽性のCSSでは白血球破砕性血管炎を示す傾向が強く,早期よりステロイド治療を要し,抵抗性の場合はシクロホスファミドなどの免疫抑制剤が必要となることを示唆する症例と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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