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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻8号

2013年07月発行

文献概要

症例報告

著明な下腿浮腫を呈した若年女性のChurg-Strauss症候群の1例

著者: 松崎ひとみ1 本多皓1 栗原英美1 高橋京子1 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.622 - P.626

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要約 28歳,女性.喘息,アトピー性皮膚炎の既往あり.両側下肢の著明な浮腫と屈曲時の手関節・膝関節痛につき当科受診した.両膝内側・下腿に掻痒性紅斑を伴っていた.血液検査でWBC 12,200/μl(Eos 21%),IgE 399IU/mlであった.膝の紅斑の病理組織像では真皮浅層から皮下脂肪織にかけて血管・付属器周囲および間質に密な好酸球浸潤がみられた.血管炎は認めなかったが,真皮中層以下で好酸球性肉芽腫が著明であった.初診6日後に足の痺れが出現し,神経伝導検査で多発単神経炎が確認され,Churg-Strauss症候群(Churg-Strauss syndrome:CSS)と診断した.メチルプレドニゾロン500mgの点滴を3日間行ったところ皮疹・神経症状は改善し,プレドニゾロン40mg/日内服へ減量および5mg/日まで漸減後も再燃はない.若い女性の下腿浮腫であり,病理組織像で好酸球浸潤があるも血管炎は認めず,angioedema associated with eosinophilia(AE)との鑑別が重要であった.AEを考える症例ではCSSも鑑別に挙げて精査することが必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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