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症例報告
広範な分布を呈した後天性真皮メラノサイトーシスの男性例
著者: 山名やよい1 小林里実1
所属機関: 1聖母病院皮膚科
ページ範囲:P.632 - P.637
文献購入ページに移動要約 24歳,男性.12歳より背部の灰褐色斑を自覚し,徐々に四肢伸側へ拡大した.合併または先行する皮疹,紫外線照射,アトピー素因はない.初診時,両鼻翼に小褐色斑があり,背部から腰部では淡褐色から灰褐色の色素斑を認め,特に両肩甲骨外側と正中に強く分布し,一部融合して網状を呈していた.四肢伸側では毛孔一致性に小褐色斑がみられ,手背,足背に及んでいた.病理組織学的に真皮浅層および毛包周囲に紡錘形のメラノサイトを認め,後天性真皮メラノサイトーシスと診断した.本疾患は顔面の皮疹の分布に特徴があるが,本邦報告例の集計から,男性例では鼻翼の皮疹に加え,肩甲骨外側と背部正中の褐色斑も本疾患を疑うべき特徴的分布の1つであると考えた.
参考文献
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