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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

ドセタキセルによる強皮症様皮膚硬化の1例

著者: 崎山とも1 平井郁子1 木花光1 深澤潔2

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科 2済生会横浜市南部病院泌尿器科

ページ範囲:P.663 - P.666

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要約 82歳,男性.前立腺癌に対しドセタキセルを投与開始した2か月後より両足背から下腿に鈍痛と浮腫が出現し,4か月後より同部に軽度発赤を伴う硬化を認めるようになった.投与終了後も症状改善なく,当科を受診した.手指や顔面には皮膚硬化を認めない.病理組織学的に真皮に膠原線維の増生を認めた.抗核抗体,抗Scl-70抗体,抗セントロメア抗体は陰性であった.ステロイド外用を行うも改善は認めていない.タキサン系薬剤による強皮症様皮膚硬化の22例の集計で,投与から発症までは1年未満と短く,皮膚硬化は部位が多様だが,ドセタキセルでは下腿のみの例が過半数を占め,Raynaud現象は少なく,抗核抗体陽性はあるが,抗セントロメア抗体や抗Scl-70抗体は陽性例はない.早期に薬剤を中止しステロイド投与を行えば改善をみるが,進行症例では無効なため,早期診断が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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