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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

頭蓋骨膜洞との鑑別を要したatretic cephaloceleを合併した頭頂部動静脈奇形の1例

著者: 村井孝弥1 石倉一夫1 鈴木一郎2 石川博康3 澤村大輔4

所属機関: 1八戸市立市民病院皮膚科 2八戸市立市民病院脳神経外科 3湊高台皮膚科 4弘前大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.675 - P.679

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要約 15歳,女児.出生時より頭頂部に皮下腫瘤があり,成長とともに増大し,掻痒を伴うようになった.初診時,頭頂部に20×14mm,弾性軟の皮下腫瘤を認めた.CTでは腫瘤直下の頭蓋骨に5mm程の骨欠損を認め,MR venographyでは骨欠損を介して上矢状静脈洞と頭蓋外血管の交通があり,脳静脈性血管奇形を合併していた.頭蓋骨膜洞を疑い全身麻酔下に腫瘤を摘出した.病理組織像は真皮から皮下組織にかけて膠原線維間にEMA陽性,ビメンチン陽性の円形あるいは紡錘形の核を有する細胞が線状に配列し,静脈様血管と動脈様血管が不規則に増生していた.最終的にatretic cephalocele(AC)を合併した頭頂部動静脈奇形と診断した.頭皮に生じた動静脈奇形が頭蓋内静脈系と交通することはごく稀であり,さらにACとの合併は,調べた限り初めてである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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