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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

Proliferating trichilemmal cystic acanthomaの1例―関連疾患におけるMRIと病理組織像の比較

著者: 富田あさひ1 小林憲1 藤林真理子2 畑三恵子3 田中勝1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター皮膚科 2東京女子医科大学東医療センター病理科 3高野医科クリニック

ページ範囲:P.693 - P.696

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要約 70歳,女性.後頭部に10年前に生じ,漸次増大した約10mm大で軽度隆起し,常色弾性硬の皮下結節で下床との可動は良好であった.MRIでは囊腫壁の一部に不整な肥厚を認めた.病理組織像では真皮内に囊腫構造があり,MRI画像と一致して一部に壁が肥厚していた.肥厚部では大小の囊腫構造が融合し索状・網目状に増殖.増殖部分の細胞には軽度の核異型がみられた.囊腫壁は小型の基底様細胞と内腔に向かって大型化し,顆粒層を欠いて角化する細胞で構成されていた.以上より,proliferating trichilemmal cystic acanthoma(PTCA)と診断した.自験例と当科で経験したtrichilemmal cyst(TC),proliferating trichilemmal tumor(PTT),malignant proliferating trichilemmal tumor(mPTT)とともに,MRI像と病理組織像を比較検討した.PTCAの病理組織像とMRI像をTC,PTT,mPTTと比較すると,壁肥厚と造影所見がよく対応した.これらを連続性病変と考えるとMRI像は病理組織構築をよく反映しており,有用な術前検査である.

参考文献

1) Ackerman AB, et al:Neoplasms with Follicular Differentiation, Ardor Scribendi, Washington, p1037, 2001
2) 泉 美貴:みき先生の皮膚病理診断ABC,2.付属器病変,秀潤社,p112, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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