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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

血行性転移で死亡した外陰部偽腺性有棘細胞癌の1例

著者: 山本佐織1 渡辺さゆり1 赤澤聡2 安藤典子1 原田和俊1 川村龍吉1 柴垣直孝1 島田眞路1

所属機関: 1山梨大学医学部皮膚科 2山梨大学医学部形成外科

ページ範囲:P.707 - P.711

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要約 69歳,女性.初診から1年前に左大陰唇に腫瘤を自覚した.初診時,左大陰唇を中心に右大陰唇に及ぶ,手拳大の有茎性の紅色腫瘤を1個認めた.原発巣切除,右鼠径センチネルリンパ節生検,左鼠径リンパ節郭清を行ったが,リンパ節転移はなかった.原発巣の組織は,腺腔様構造を呈しており,偽腺性有棘細胞癌と診断した.術後5か月で,肺転移をきたした.術後化学療法にて,ペプレオマイシン5mgを20回投与したが,化学療法後5か月に全身転移をきたし,シスプラチン(80mg/m2,1日間),フルオロウラシス(800mg/m2,5日間)の投与を1クール施行したが,初診から1年5か月後に永眠した.偽腺性有棘細胞癌は,血行性転移をきたしやすい.自験例も病理組織で血管内に癌細胞の浸潤を認め,原発巣と肺の病理組織の免疫染色パターンの一致から肺転移をきたしたと診断した.偽腺性有棘細胞癌は予後不良であるため,定期的な身体所見と画像評価が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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