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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

中型の先天性色素性母斑上に生じた悪性黒色腫の1例

著者: 登谷晶美1 谷岡未樹1 宮地良樹1 中溝聡2 丸田直樹2 中川雄仁2

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科 2福井赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.719 - P.722

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要約 48歳,男性.出生時より右膝外側に50×30mmの褐色調を呈する先天性色素性母斑が存在していた.1年前より母斑辺縁に13×11mmの黒色結節が出現した.結節部のダーモスコピー所見では,一部にblue-whitish veilやirregular streaksが認められ悪性黒色腫を疑う所見を認めた.黒色結節部の切除生検を行った結果,異型メラノサイトが増殖しており,先天性色素性母斑上に生じた悪性黒色腫と診断した.Tumor thicknessは1.2mmであった.全身検索を行い遠隔転移なく,1cmマージンで拡大切除を行った.右鼠径部センチネルリンパ節生検の結果は陰性であった.以上より,表在拡大型悪性黒色腫pT2aN0(sn)M0,stage IBと最終診断した.術後補助療法としてフェロン療法(IFN-β 300万単位/日×5日局注)を3クール終了し現在も経過観察中である.自験例は中型の先天性色素性母斑から生じた悪性黒色腫と考えた.先天性母斑のもともと有している遺伝子変異に加えて,何らかの遺伝子変異が加わることで悪性黒色腫に変化する可能性が示唆された.

参考文献

1) Kopf AW, et al:J Am Acad Dermatol 1:123, 1979
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6) Chapman PB, et al:N Engl J Med 364:2507, 2011
7) Pollock PM, et al:Nat Genet 33:19, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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