icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

転倒による手の外傷を契機に発症した続発性皮膚クリプトコッカス症の1例

著者: 山本洋輔1 外川八英1 岩澤真理1 鎌田憲明1 神戸直智1 渡邊正治2 渡辺哲3 亀井克彦4 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2千葉大学医学部臨床検査医学 3千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部 4千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.728 - P.732

文献購入ページに移動
要約 76歳,男性.初診日1か月前に屋外で転倒し左母指を受傷した.左母指の基部に辺縁が周堤状に隆起し,中央に潰瘍を伴う結節を認めた.潰瘍部を生検したところ,真皮間質にPAS染色陽性の淡紅色の円形構造物を多数認め,真菌培養によりCryptococcus neoformansを同定し,皮膚クリプトコッカス症と診断した.イトラコナゾール内服にて消長を繰り返しつつ徐々に軽快した.外傷を契機に発症したため,一見原発性を疑うが,胸部X線にて左下肺に陰影を認めたこと,単発性でなく外傷部以外にも紅斑局面を生じ,そこからも同じ菌が検出されたこと,病理組織像にて炎症細胞浸潤に乏しく,肉芽腫形成のないゼラチン状と称される所見であることなどより続発性と考えた.

参考文献

1) Franzot SP, et al:J Clin Microbiol 37:838, 1999
2) 益田孝司,他:京府医大誌 118:815, 2009
3) Ng WF, et al:Am J Dermatopathol 15:372, 1993
4) Song IC, et al:Plast Reconstr Surg 90:1065, 1992
5) Murakawa GJ, et al:Arch Dermatol 132:545, 1996
6) Hinshaw MA, et al:Lever's Histopathology of the Skin, Lippincott Williams & Wilkins, New York, p609, 2008
7) 望月 隆,他:日皮会誌 119:151, 2009
8) 深在性真菌症のガイドライン作成委員会:深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2007,協和企画,p80, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?