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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

症例報告

肺結核患者に合併した肛門部潰瘍を呈する赤痢アメーバ症

著者: 齋藤京1 関根克敏2 川田真幹3

所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科 2さいたま市立病院内科 3さいたま市立病院感染症科

ページ範囲:P.733 - P.736

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要約 58歳,ホームレス男性.肺結核で入院したが,肛門部潰瘍や血便も認めていた.肛門部潰瘍は全周性で一部は白色の壊死を伴い深かった.壊死組織の抗酸菌培養は陰性,壊死組織の病理検査や便の塗抹検査で赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)が確認された.CTでは肝膿瘍を認め,下部消化管内視鏡では結腸に潰瘍が多発していたが抗酸菌や原虫は同定されなかった.結腸と肝病変は赤痢アメーバ症疑い,肛門病変は赤痢アメーバ症と診断した.イソニアジド200mg/日,リファンピシン450mg/日,エタンブトール750mg/日,ピラジナミド1g/日に加えメトロニダゾール1000mg/日を内服したが,次第に衰弱が進行し死亡した.本症は本邦で男性同性愛者による感染を中心に流行しつつある.自験例に関しては状況から不衛生な生活の中での経口感染と推察され,結核との合併である点および肛門部潰瘍を呈した点が特徴であった.

参考文献

1) 増田剛太,立川夏夫:日性感染症会誌 19:109, 2008
2) 宮崎貴子,他:皮膚臨床 41:1367, 1999
3) 黒川彰夫,他:胃と腸 38:1275, 2003
4) 谷口真紀,濁川博子:日本内科学会関東支部関東地方会会議録 576:33, 2010
5) 長濱正吉,他:日外感染症会誌 8:35, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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