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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻1号

2014年01月発行

文献概要

症例報告

インフリキシマブ投与中にS状結腸癌が発見された尋常性乾癬の1例

著者: 何川宇啓1 水川良子1 塩原哲夫1 横川真紀2 佐野栄紀2

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2高知大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.18 - P.22

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要約 51歳,男性.27歳時に尋常性乾癬と診断された.シクロスポリン内服,ウステキヌマブ等の治療歴があるが,十分な効果が得られなかったため,インフリキシマブによる治療を希望して当科を受診した.軀幹,四肢に鱗屑を付す紅斑性局面を認め,PASIは23.2だった.投与前の胸部X線および骨ガリウムシンチ,胸腹部CTでは異常はなかった.インフリキシマブ500mg(5mg/kg)を計5回(0,2,6,14,22週)投与後,皮疹は著明に改善し,PASIはほぼ0となった.4回目投与後に血便があり,その際の血中CEAは5.5ng/mlと軽度上昇していた.下部消化管内視鏡検査で,S状結腸に全周性の病変を認め,生検にて腺癌と診断された.CTで右肺と肝臓に転移が発見された.今後,シクロスポリンからインフリキシマブ,アダリムマブ,ウステキヌマブなどの生物学的製剤へと切り替える症例が増えることが予想されるが,このような治療歴が悪性腫瘍の発症リスクを上昇させる可能性が考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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