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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻1号

2014年01月発行

症例報告

陰茎縫線囊腫の1例―ムコ物質の組織化学的検討を併せて

著者: 小野与里子1 足立秀禎2 鈴木伸吾2

所属機関: 1岐阜県立多治見病院皮膚科 2豊田厚生病院皮膚科

ページ範囲:P.23 - P.27

文献概要

要約 2歳,男児.2010年5月末頃から,陰茎先端の縫線上に,3mm大で透過性を有する常色小結節が出現した.病理組織学的に表皮と連続性のない単房性の囊腫構造を認め,単層立方および多列円柱上皮細胞で被覆された囊腫壁の一部に断頭分泌様所見を認め,陰茎縫線囊腫と診断した.陰茎縫線囊腫は,その発生部位や組織学的所見の類似から傍尿道口囊腫,アポクリン汗囊腫との鑑別が難しいとされる.免疫染色とムコ物質の糖鎖の染色を行った結果,GCDFP-15,CD15,SMAは陰性で,また,囊胞壁のムコ物質はシアル酸を含むシアロムチンが主体で,傍尿道口囊腫やアポクリン腺では硫酸基を有するスルフォムチンが優勢であることから,これらの染色の併用が,陰茎縫線囊腫の診断に有用であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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