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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻1号

2014年01月発行

文献概要

症例報告

大腿部の紫斑からクリオグロブリン血症を伴う濾胞性リンパ腫の診断に至った1例

著者: 車谷紋乃1 山口賢2 伊藤恵子1

所属機関: 1川口市立医療センター皮膚科 2川口市立医療センター内科

ページ範囲:P.60 - P.64

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要約 79歳,男性.2012年2月より両大腿内側に紫斑が出現し,血液疾患が疑われ当院内科を紹介された.表在リンパ節腫脹はなく,血算,一般生化学検査で異常はなかった.初診時,両大腿内側を中心に左側腹部,左下腿外側に浸潤の触れない紫斑が局面を形成していた.生検では真皮上層の小血管腔に好酸性物質による塞栓像があった.Ⅰ型クリオグロブリン血症を疑い精査し,血清M蛋白,クリオグロブリン(IgG-κ型)が陽性であった.基礎疾患検索を行い,PET-CTで全身骨と腹部傍大動脈リンパ節に集積を認めた.骨髄生検で核不整の小型リンパ球様細胞が増殖し,CD20,CD79a陽性で,濾胞性リンパ腫と診断された.R-CHOP療法開始後,皮疹は速やかに消退し,再生検では血管内腔の閉塞像は消失していた.皮疹の分布は非特異的で臨床的にはクリオグロブリンの存在を疑えなかったが,血液悪性疾患の発見に至り皮膚生検の重要性を改めて認識した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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