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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻1号

2014年01月発行

文献概要

症例報告

梅毒合併HIV感染者に生じた非定型的ヘルペスウイルス感染症の1例

著者: 木藤悠子1 伊東慶悟1 松尾光馬1 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.65 - P.69

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要約 38歳,男性.2011年1月頃,咽頭痛のスクリーニング検査にてHIV感染が判明した.同年3月中旬,当院感染制御部を受診し,Western Blot法陽性,HIV-RNA 7.6×104コピー/ml,CD4 35/μlであった.当科初診の8日前より両側臀部に皮疹が出現し,左側には鱗屑・痂皮を付着するびらんが散在性に出現した.血液検査所見では単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)血清抗体はHSV IgG(EIA)8.8(<2.0),HSV IgM(EIA)0.47と既感染,梅毒はTPHA 2,560倍,RPR 128倍と未治療であった.びらん部の病理組織所見は,辺縁部で核が腫大し,細胞質が淡明・均質・大型化した表皮細胞がみられた.同細胞はHSV抗原に対する免疫染色陽性であった.生検後より,バラシクロビル3,000mg/日を投与し,4日目には皮疹の軽快を認めた.HIV感染に伴ってHSV感染症が生じる場合,臨床症状は多様であり,局所の病原診断が重要となる.

参考文献

1) Rigopoulos D, et al:Clin Dermatol 22:487, 2004
2) 性感染症 診断・治療ガイドライン2011.日本性感染症学会誌 22:18,2011
3) Dillon SM, et al:Clin Infect Dis 24:945, 1997
4) 清水聡子:1冊でわかる性感染症,文光堂,p85,2004
5) Freeman EE, et al:AIDS 20:73, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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