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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻1号

2014年01月発行

文献概要

症例報告

潰瘍型治癒後に膿疱型の臨床像を呈した壊疽性膿皮症の1例

著者: 水守絵里1 福本毅1 堀啓一郎1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構神戸医療センター皮膚科

ページ範囲:P.80 - P.84

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要約 47歳,男性.22年前より潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)にて加療中であった.右下腿に犬咬傷を受傷し,同部が有痛性で周囲が堤防状に隆起する7×6.5cm大の潰瘍となった.辺縁部からの病理組織所見では,真皮から皮下組織にかけて好中球を主体とした炎症細胞浸潤を認め,UCを合併した壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)と診断した.プレドニゾロン40mg/日内服にて著明に改善し,約3か月後に潰瘍は瘢痕治癒した.症状は安定していたが約1年後にUCが急速に悪化し,頭部,後頸部,胸部,上肢に紅暈を伴う有痛性膿疱が多発した.病理組織検査で角層下膿疱,毛包を中心とした好中球の浸潤が認められ,細菌培養は陰性であり膿疱型PGと診断した.皮疹は約3週間で消退したがUCはコントロール不良であり,多量の下血とともに呼吸器感染症を発症し死の転帰をたどった.膿疱型PGはまれであり,今後症例の蓄積が期待される.

参考文献

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13) Sapienza MS, et al:Dig Dis Sci 49:1454, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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