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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻10号

2014年09月発行

文献概要

症例報告

抗OJ抗体陽性の抗ARS抗体症候群の1例

著者: 村田紗葵子1 石黒直子1 近藤光子2 濱口儒人3 藤本学3 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学第1内科 3金沢大学院医学系研究科皮膚科学教室

ページ範囲:P.786 - P.790

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要約 68歳,女性.間質性肺炎に対するステロイドパルス療法後,プレドニゾロン60mg/日を内服中に,手指の冷感,暗紫色調変化と潰瘍が出現した.手指関節背に鱗屑を付す淡い紅斑があるも,ヘリオトロープ疹,爪囲紅斑は認めず.筋症状や関節症状もなかった.血液検査ではCKは正常で,アルドラーゼの軽度上昇とKL-6高値を認めた.抗核抗体は20倍未満であったが,免疫沈降法で抗OJ抗体を検出した.手指の紅斑からの生検病理組織像では液状変性はなく,真皮に軽度の浮腫と血管周囲性にリンパ球浸潤を認めた.蛍光抗体直接法にて免疫グロブリンの沈着はなく,病理組織学的には皮膚筋炎に特異的な所見はなかった.抗OJ抗体陽性の抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群の報告は少なく,皮膚症状を伴わない症例が多い傾向がある.自験例では間質性肺炎が先行し,末梢循環障害を疑わせる皮膚症状を認め,シクロホスファミドパルス療法の併用により軽快した.

参考文献

1) Targoff IN:Rheum Dis Clin North Am 18:455, 1992
2) 平形道人:分子リウマチ治療 3:1, 2010
3) Sato S, et al:Rheumatology (Oxford) 46:842, 2007
4) 松下貴史,竹原和彦:臨皮 60:44, 2006
5) 清水健一郎,他:日呼吸会誌 48:45, 2010
6) Targoff IN, et al:J Clin Invest 91:2556, 1993
7) 沢田泰之:Derma 63:6, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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