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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻10号

2014年09月発行

文献概要

症例報告

抗セントロメア抗体陽性であったびまん浸潤型サルコイドーシス(lupus pernio)の1例

著者: 野村尚志1 江上将平1 笠井弘子1 森真理子1 横山知明1 藤本篤嗣1 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.791 - P.795

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要約 54歳,女性.初診8年前より手指に凍瘡様皮疹が出現し,近医にて抗核抗体高値を指摘された.皮疹は季節的変化を認めずに徐々に拡大し,当科を受診した.軽度浸潤を触れ,びまん性に分布する紫紅色斑を手指・手背に認めた.抗セントロメア抗体陽性.Raynaud症状なし.手背皮膚の病理組織像は真皮に島状の集塊をなす非乾酪性肉芽腫であった.胸部X線・CTにて両肺門部リンパ節腫脹を認めた.呼吸機能検査にて閉塞性障害があり,気管支鏡検査を施行したところ気管支壁に多数の白色扁平隆起性病変を認めた.同部位の病理組織像は皮膚と同様の非乾酪性肉芽腫であり,抗セントロメア抗体陽性のびまん浸潤型サルコイドーシス(lupus pernio)と診断した.発症から9年経過し強皮症への移行は認めていない.しかしサルコイドーシスは20年以上の長期経過後に強皮症へ移行する可能性があること,びまん浸潤型では呼吸器病変の合併が多いことに留意し,慎重に経過を追う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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