icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻10号

2014年09月発行

症例報告

45年前より認める手掌のエクリン汗孔腫に生じたエクリン汗孔癌の1例

著者: 馬場裕子1 野村尚志1 藤本篤嗣1 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.820 - P.823

文献概要

要約 82歳,女性.45年来,右手掌中央に径3mm大の黒褐色結節を認めた.半年前より誘因なく急速に増大,初診時には径20mm大,疣状で多房性の紅色腫瘍を呈していた.病理組織学的に,腫瘍全体は左右対称で棍棒状に増殖する上皮索を持ち,好塩基性の大小不整な細胞と好酸性の組織球様細胞が増殖していた.個細胞角化,分裂像や多核巨細胞も観察された.腫瘍巣内の好酸性物質の増殖は表皮内汗管を示唆し,辺縁で異型性に乏しい好塩基性細胞の網状増殖と,CEAとCAM 5.2陽性の管腔様構造を認めた.エクリン汗孔腫から生じたエクリン汗孔癌と診断した.エクリン汗孔癌はde novo発症と,前癌病変からの二次的発症がある.前者は比較的緩徐に増大し,後者は前癌病変がある時点より急速に増大して発症する.エクリン汗孔腫と汗孔癌の鑑別には,特に腫瘍巣内に占めるbowenoid changeの部位や割合が重要となる.

参考文献

1) Pinkus H, et al:Arch Dermatol 88:597, 1963
2) 安斎真一,他:日皮会誌 102:479, 1992
3) 加茂理英,他:Skin Cancer 19:322, 2004
4) 土肥 凌,他:皮膚臨床 53:1949, 2011
5) 田村梨沙,他:臨皮 64:957, 2010
6) 伊東慶悟,他:日皮会誌 119:173, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら