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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

症例報告

骨盤骨折に対する経カテーテル的動脈塞栓術後に褥瘡に類似した臀筋壊死を生じた2例

著者: 須原紫1 松原真由美2 佐藤彰洋1 榊原章浩1

所属機関: 1愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院皮膚科 2愛知県農業協同組合連合会安城更生病院看護部

ページ範囲:P.857 - P.862

文献概要

要約 症例1:77歳,男性.はしごから転落し骨盤を骨折した.骨盤内出血のため,両側の内腸骨動脈に対して経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)が施行された.TAE後5日目に右殿部に紫斑が出現し,褥瘡の疑いで当科へ紹介されたが,その後紫斑は黒色壊死となり,デブリードマンにて臀筋に至る壊死を認めた.症例2:80歳,男性.交通事故で骨盤を骨折した.骨盤内出血のため両側の内腸骨動脈に対してTAEが施行されたが,4日後より両側臀部に紫斑とびらんが出現し,当科へ紹介された.紫斑は急速に黒色壊死となり,臀筋に至る壊死を認めた.骨盤内出血を止血するためのTAEにより救命率は向上しているが,時にTAE後に臀筋壊死,皮膚壊死を合併することがある.褥瘡として皮膚科へ紹介されることも多く,このような合併症を熟知することで適切な対応が可能になると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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