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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

文献概要

症例報告

単純ヘルペスウイルスの再活性化による口腔内・食道潰瘍を呈した薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 森本亜里1 舩越建1 福島彩乃1 久保亮治1 海老原全1 林田哲2 真杉洋平3 亀山香織3 永尾圭介1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部外科学教室 3慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.873 - P.878

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要約 59歳,女性.乳癌脳転移摘出術後,ゾニサミドを開始した40日後より膝に紅斑が出現し全身に拡大した.初診時,38℃の発熱,顔面の潮紅・腫脹,全身に半米粒大までの紅斑の多発,頰粘膜びらんを認めた.頸部・鼠径部リンパ節腫脹,白血球11,100/μl,好酸球36%,肝酵素はAST 102IU/l,ALT 97IU/lと上昇し,ゾニサミドによる薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)と診断し,プレドニゾロン(PSL)60mg/日を開始した.一旦軽快したが発症16日目に発熱,皮疹,口腔内びらんが再燃し,肝酵素値もAST 97IU/ml,ALT 117IU/mlと増悪した.DIHSの2峰目と判断しPSL同量を継続したが口唇・歯肉びらんのみが遷延した.発症25日目に舌潰瘍が多発し,食道潰瘍を認めた.舌・食道の生検組織像で核内封入体を認め,免疫組織染色で単純ヘルペスウイルス(herpes simplex syndrome:HSV)陽性であった.発症30日目ヒトヘルペスウイルス6型(human herpes virus-6:HHV-6)の抗体価上昇およびゾニサミドの薬剤リンパ球刺激試験陽性化がみられた.HSVはHHV-6とともにDIHSの病態に関与するヘルペスウイルス科の1つと考えた.

参考文献

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8) 狩野葉子:医学のあゆみ 220:889, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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