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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

文献概要

症例報告

小児の鼻根部右側に生じた血管平滑筋腫の1例

著者: 前久保理恵1 成田幸代1 持田耕介1 中山文子2 瀬戸山充1

所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野 2県立延岡病院皮膚科

ページ範囲:P.885 - P.888

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要約 10歳,女児.右鼻根部に約1cm大,弾性硬で可動性不良の無痛性皮下結節が出現し受診した.MRIにてT1ならびにT2強調画像で灰白質とほぼ同程度の信号を示し,造影検査ではやや不均一に増強される腫瘍であった.腫瘍発生部位や,MRI画像より皮様囊腫を疑い,切除術を施行した.しかし病理組織所見では,葉巻状の核をもつ紡錐形の細胞の増生と,1層の内皮細胞で構成されている裂隙状の血管腔が散在し,血管腔を取り囲んで線維束が放射状に増殖していた.腫瘍細胞は免疫染色にてα-SMAとHHF-35で陽性,CD34,S100蛋白は陰性であり,血管平滑筋腫(solid type)と診断した.術後2年経過現在,再発は認めていない.過去の報告も含め検討したところ,小児では成人と異なり頭頸部に好発し,無痛性であることも多く,腫瘍サイズも大きい傾向がみられた.疼痛症状は必ずしも当てはまらず,小児の無症状の皮下結節は,血管平滑筋腫も念頭に置く必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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