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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

文献概要

症例報告

背部に生じたらせん腺癌の1例

著者: 本田真一朗1 藤井紀和1 高橋聡文1 加藤威1 藤本徳毅1 田中俊宏1 河野晶子2

所属機関: 1滋賀医科大学皮膚科学教室 2湖東記念病院皮膚科

ページ範囲:P.894 - P.898

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要約 63歳,女性.5年前より右背部に5cm大の皮下腫瘤を自覚し,徐々に増大したため近医を受診し切除術を受けた.病理組織検査で悪性腫瘍を疑われ当科を受診した.病理組織像は核異型の強い領域と核異型のみられない領域がみられた.後者の領域では2種類の腫瘍細胞が索状または管腔状に増生し好塩基性の小型細胞が外側に好酸性の細胞が中心にみられ,らせん腺腫に相当すると考えた.前者の領域では好塩基性の異型細胞が密に増生し,p53のびまん性の染色とKi-67の標識率の上昇がみられた.以上から,らせん腺腫より生じたらせん腺癌と診断し追加切除した.自験例ではらせん腺癌の部分にp53の過剰発現がみられ,らせん腺腫の悪性化において必須のステップである可能性が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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