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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科68巻11号

2014年10月発行

文献概要

症例報告

広範囲な硬化局面を呈した皮膚原発アポクリン腺癌の1例

著者: 伊東可寛1 小林孝志1 白樫祐介1 五味博子1 山崎一人2 石田康生2 早川和人1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター病理部

ページ範囲:P.899 - P.904

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要約 82歳,男性.15年前に左腋窩の皮膚腫瘍を切除し,リンパ節を郭清した.半年前より左頸部の皮膚が硬化し拡大したため当院を受診した.左頸部から左腋窩,左胸背部にかけて境界明瞭な板状の硬化局面を認めた.病理組織所見では,好酸性胞体と腫大した核を有する腫瘍細胞が真皮全層で一列に配列しつつ索状増殖する低分化型腺癌であった.免疫組織化学染色でGCDFP-15,CK7,アンドロゲン受容体は陽性,CK20は陰性,エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体は弱陽性であった.全身検索では骨,胃への転移の他,癌性胸膜炎による胸水貯留を認めた.腫瘍内に乳腺組織,他臓器に原発巣を認めず,断頭分泌像はみられないものの発生部位および免疫組織化学的染色の結果から,多発転移を伴った低分化型皮膚原発アポクリン腺癌と診断した.自験例は切除後15年経過して再発し,急速に拡大する硬化局面および多発転移を呈した稀な症例と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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